百八記blog

はてなダイアリー「百八記」から引っ越しました。相変わらずの、がさつずぼらぐーたら。

歌舞伎座 夜の部

なんとわたくし、今日(6/11)が歌舞伎鑑賞200回目だったそうです(自分では管理してない^^;)。そんなになりますか。まだまだ他力本願で、んぼーっと眺めているだけの日々ですが。ともあれ、根気よく誘ってくれる(そして鑑賞記録を管理してくれる)配偶者に最大級の感謝を。

  • 盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)

家を出る直前に腹が痛くなったりして、冒頭一時間ほどを見逃しました。
配偶者から、見逃したところがものすごくいいから、後日、一幕見でも見たほうが「絶対」いい、と言われました…ガーン。いや、いいだろうとは思っていたのです。主役と言うべき3人が、仁左衛門吉右衛門時蔵です。これでまさか不出来ということは、それこそ絶対に無いでしょう。しかし、大詰めから観た芝居は…想像を越える、呆然とするほどの良い出来でありました。身震いするような。
まず、なんといっても三五郎の仁左衛門がすばらしい。勘当されるほどに身を持ち崩した有様、素っ町人のペラペラな軽い人生観と忠義心の矛盾を抱えながら、虚実の皮膜をそのまま体現して生きるような。圧巻でした。
源五兵衛の吉右衛門がまた、すさまじく良い。人間くさい温かみと矛盾と人を殺すだけの凄みのある浪人。
そして小万の時蔵。いっとき艶やかさが減ったかと思っていたのですが、そんなことなかった。自堕落さと明るさと夫への情愛と、女らしさに満ちた元芸者の佇まいは、ああこりゃ惚れるね、惚れたら狂うね。
八右衛門の染五郎。このひとほんとに、実のある家来、下男、郎党、みたいな役がよく似合う。せっかく顔が良いのに勿体ないと思わなくもないけれど、なんせ周囲に毒入りの美味佳肴が揃っている分、この朴訥な佇まいは得がたい。
ちょっと、どうか?と思ったのは了心の芦燕。まだ台詞がしっかり入ってないのかな、なんだか微妙に間がとれない喋り方。
うーん、見逃した序幕〜二幕、やっぱり観るべきかも。

  • 良寛と子守(りょうかんとこもり)

えー、あー、うー。富十郎のお子さん自慢?
今月が初御目見、一歳十ヶ月の愛子ちゃん(富十郎の長女)が、もう舞台狭しと歩き回ること。そしていろんな演技…の、まねごとをする。踊りにも立派に参加する。んー、ちっちゃい!可愛いし微笑ましい。
子守りの尾上右近くんは、大きくなりましたねえ。踊りも立派で、見ていて安心感がありました。
最後に大ちゃん(富十郎の長男)が出てきて、良寛に扮した父親に拝まれていました。大ちゃん、初御目見のときもなんか拝まれる役だったな。

  • 教草吉原雀(おしえぐさよしわらすずめ)

梅玉魁春、鳥刺しに歌昇。吉原雀に鳥刺しが出てくる演出は、初めて見ました。
直前がお子様主役というような舞台だったのに比べて、こちらは大人の魅力たっぷり。
ああ、歌舞伎観たーという満足感。ふう。