百八記blog

はてなダイアリー「百八記」から引っ越しました。相変わらずの、がさつずぼらぐーたら。

歌舞伎座 昼の部

楽日とあって、客層も素敵。見たことない着物がたくさんでした。
有名人としては、配偶者が言うには、立川流家元がいらっしゃったとか…。
あと、チラッと見えたロビーでは池坊家元…らしいと思ったけど違うかも。

  • 信州川中島合戦(しんしゅうかわなかじまがっせん)

「輝虎配膳」という幕でした。この演目は初見です。
今月は、昼も夜も時蔵がすばらしく良い!と感服しました。山本勘助の妻、お勝を演じていたのですが、もう…なるほど納得の智将の妻であります。実があり情があり、機知があり、なお役者として華もある。こんなに吸引力のある人だったのか。
勘助の母、越路の秀太郎も素晴らしかった。これからもっと老け役が見られることと楽しみです。

  • 素襖落(すおうおとし)

吉右衛門の太郎冠者、富十郎の大名。ともに大変、よかったです。吉右衛門が酔って舞うのですが、まことに酒の上での舞らしく、ふわり、ふわりと雲の上を舞うような心地で、なんとも幸せでした。
あと、吉右衛門は、楽日のお遊びでしょう、本来「あの山から、この山へ、ぴょいと飛んだは、ありゃウサギ」と唄うところを「ぴょいと飛んだは、大ちゃん愛ちゃん(富十郎の長男、長女の名前。今月ふたりとも舞台に出ています)」とやったから、客席がうわっと沸きました。思わず想像してしまいました。山から山へぴょいと飛ぶ、巨大なふたりの幼児を…。

  • 恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)

「封印切」「新口村」でした。
仁左衛門!文句なく仁左衛門がすごい!!憎たらしい八右衛門役と、田舎の素朴な親父である孫右衛門との二役でしたが、どちらもリアル以上に存在感があって。特に孫右衛門は、しみじみと泣かされてしまいました…。
染五郎の忠兵衛。あまりじゃらくらと遊び人がましい雰囲気に合わないようで、出てきた最初こそ違和感がありましたが、独特の実直な佇まいが、我慢に我慢を重ねて、挙句に心で悲鳴をあげながら封印を切るあたりに、うまく集約されたようでした。
孝太郎の梅川。この人なんだか少しずつ、色っぽくなっていくなあ。その色気もちょっと独特で、もともとの骨細いいじらしい雰囲気に加えて、動きがしなやかで、夢の女というような…バレエならシルフィードみたいな、そんな印象。近々、大化けするんじゃないかと思いました。
秀太郎のおえん。本役でしょう、しっくりきています。
歌江の女房。いや、いいなあ(笑)。そんなにリアルに田舎のおかみさんやらなくていいです、というぐらい見事。ふと、伯母の誰かに似ていると思った。