百八記blog

はてなダイアリー「百八記」から引っ越しました。相変わらずの、がさつずぼらぐーたら。

パルジファル

えー、オペラ。
さまよえるオランダ人』、そして昨日は『パルジファル』(こちらはオーケストルオペラと称して、オーケストラ主体のもので、本寸法のオペラではないらしいが)と、2週連続で連れて行っていただきまして。
『オランダ人』は、たしかに役者は良かったんだけど、こちらの体調が万全でなかったところと、やはり演出がいかにも強引なところがあって、いまひとつ楽しみきれなかったのですが、今回の『パルジファル』は、もの凄く面白かった!!
どこらへんが面白かったか…ちゃんと説明しきれなくて歯痒い。ニガイメ氏の日記にその感動が詳しいため、まずはこちらをご覧いただけますと幸いです(ニガイメ氏許可済)。
http://blog.goo.ne.jp/nigaime/e/a1be63ac17711024d1435a33a75b40cc
で、あとは、そうですね。これまで拝見した、同じシティフィルのオーケストルオペラのなかでは、一番好きだと思いました。
音楽も素晴らしく感動的なんだけど、英雄的ではなくて、粒子が非常に細かい、繊細な震えの重なり。ストーリーも、恋愛のようなものが一瞬出てくるけれど、それも恋ではなく。ニガイメ氏とも焼酎飲みながら話したんだけど、たぶん、こうしたものを我々が受け取るときに、能っぽいものを連想してしまうんだと思います。
宗教、救済のイメージがぐぐぐぐっとせまって、広がっていくような…しかもその救済は、いわば悪人正機とでも言うべき、弱さ苦しさに対してもたらされるもので、極めて母性的です。
パルジファルの経験と悟りについては「共苦」という造語?を使っていましたが、これなどは「同行二人」を連想するし、マグダラのマリアとイエスそのままの場面展開(正直、そのまんますぎてちょっとひいたけど。新約聖書まんまの場面は、ほかにもたくさんありました)、そこから至る女人への赦し…(女人成仏か?)。花の女たちの誘惑は紅葉狩の鬼たちのようだし、パルジファルが再び戻ってくるところは貴種流離みたいだし、ほんとに、いろんな場面にいろんな能の名場面を当てはめて観ていました。
まあそれもこれも私に基礎知識が無いまま観たから、余計に似ているものを探しながら観るようなことになったんだろうとは思いますが、それらを差し置いても、パルジファル役の竹田昌弘さん、クンドリ役の小山由美さんをはじめとした、歌手陣の力もあったのでしょう。全体的なカラーとして知的でひたむきで、惹かれずにいられませんでした。
あとは、えー、余談として。日生劇場はじめて行きましたが…ハコは古いけどトイレとか設備が、ちゃんとしてた。売店ではぬれせんや梅干やチョコレートを売っているし、女の人が沢山来る劇場ならではだなあと思ったことでした(笑)