百八記blog

はてなダイアリー「百八記」から引っ越しました。相変わらずの、がさつずぼらぐーたら。

修善寺

連休直前の土日で行ってまいりました。いやはや、バスが便利で見どころがコンパクトにまとまっていて、徒歩の観光客にまことに優しい。
以下は、mixiに書いた日記にもう少し肉付けしたものです。主にメシの話で長くなってしまってます(笑)スミマセン〜

1日目はだんだん激しくなる雨にやられて早々に宿に転がり込んで温泉であったまって伊豆の美味に舌鼓。
2日目は「虹の郷」という伊豆市のレジャー施設で半日遊んで、修善寺駅前の蕎麦屋で軽くビールのつもりが、つまみのあまりの美味さについ昼酒をかっくらって、電車に乗ったら強風で2時間半の足止めをくらって、へろへろで帰ってきました・・・。

ああ、きたきた。この電車に乗るのよ・・・って、回送かいっっ(その後、ちゃんと行き先が表示された模様)。

踊り子号の車両は懐かしいタイプの、窓がガタガタと開けられるやつで、いや古いの好きだからいいんだけど、特急なのにそれでいいの?そうなの?


ちょっとフンパツ東京弁当。 東京駅の絵葉書とお品書きがついていて、おいしゅうございました・・・が、正直言って、いつもの深川飯の倍額ってのは、いくらなんでも高すぎないか。

さて修善寺駅に着きました。さっそく、ホームの手洗い場が、ううむなんともレトロ。

街なかまではバスですぐです。あー、これかあ、スマートボール! コリントゲームみたいなやつかーと思っていたら、レバーがついているのだね。街なかの、あちらこちらに店舗がありましたが、時間がまだ早かったのか、行楽シーズンを微妙に外していたためか、営業していませんでした。

混雑を避けて、少し早めの腹ごしらえ。東京弁当が存外なボリュームで、それほどおなかすいているわけでもないのだけど、まああっさりとお蕎麦でも。と、「独鈷蕎麦」へ。

写真ブレブレですみません。カメラの調子が悪いままでして・・・。
「温かいのと冷たいの、うちはこの2つだけです」というので、ひとつずつ頼んで、まず出てきたのは葉つきの立派な山葵。「よろしかったらお持ち帰りください」と言われ、お持ち帰りしたかったのだけど旅の一日目・・・涙を呑んであきらめました。
温かいお蕎麦は、特産品だという椎茸のふんだんに入った甘めのおつゆに、とろろをのっけていただきます。美味。冷たいお蕎麦は2種類のつけ汁が。ほかに凍みこんにゃくの煮物、かぼちゃと筍と蕗の炊き合わせ、野蒜?などがついていて、かなりおなかいっぱいになりました。

さて散策開始。老舗☆菊屋旅館のお庭を覗き込んだら、なかに谷川が流れていますよ・・・ほおおお。

日枝神社にもお参りして(ここの入り口にある碑の文章、現在の衰退がなんとも無念な感じが、気の毒やらおかしいやら・・・)、さてなんたって修善寺だものね、修善寺にお参り。


修善寺はこんな小さな街なかなのに、境内がすぱーんと開けていて、古い建物にも丁寧に手が入れられていて、大事に扱われている印象強し。左手の新しい建物では告別式が行われていました。The・古刹ってのもいいけれど、やはりお寺は現役であってほしいですね。なんとも気持ちのよいところ。宝物館では修善寺の歴史やこれから見に行くあれこれの事前知識の仕入れ、更には現地ではレプリカになっている扁額の本物なども拝観できて、なかなかお得。


竹林の小道を抜けて、範頼さんのお墓に参る。
私、個人的に、義経くんよりも気の毒なんじゃないかと思っているフシがあって・・・義経くんは勝手に官位を受けただのなんだの言われて追われたのだけど、このひと、武勲は立てながら、危機に際して兄の奥さんを元気付けたばっかりに、謀反の疑いをかけられて殺されたのですよ。ずっと兄を信じてついてきたのに、いい目をひとつも見ないで、働くだけ働いて死んでいったなんて、ねえ・・・。
お墓へ登って行く道沿いに、ずっと季節季節のお花が植わっていて、慰められる心地です。

お墓から降りてきて、風の道という小道を抜けて(こうした小道が効率よく配されていて、観光客にとっても親切)。あ、風の道には温泉を配湯する巨大タンクやパイプの下すぐを潜る箇所があって、なかなか楽しいです。

温泉資源を大切に。


目指したのは指月殿。政子さんが、暗殺された頼家くんの冥福を祈って寄進したもの。釈迦如来像は鎌倉時代、左右を守る仁王像は平安期の作とのこと。
簡素ながら必要十分の機能を備えた経蔵です。上記で言った扁額のレプリカはここなんですが、これだってけっこう迫力ですよ。
しかしいいとこだ…うん、地方で豪族やってくなら、こういう、海の幸山の幸が豊かで、気候が良くてお湯があって、山々という自然の要塞もあって、なんてとこは最高じゃないすか。

雨がだんだん激しくなってきたので、バス停へ急ぐ。

メインストリートを少し外れると廃墟っぽい建造物も点々と。タイル張りの昭和レトロな建物も、以前はスナックかなにかとして賑わっていたのでしょうけど、今は物置になってしまっていました。

バスで修善寺駅まで一度戻って、そこからはタクシーで白岩温泉の割烹旅館「しもむら」へ。


到着した途端に甲斐甲斐しいおかみさんのご案内で、離れの、お庭つき畳床暖房(しかも暖房の熱源は温泉!!これすごくいい!!)のお部屋へ。甘夏がお出迎え。
早速お茶を入れてくださったので、柏餅で一息ついて、離れのなかの温泉(内湯)へ。ガラス張りの現代的なお風呂で、眺めがよいです。

外湯もあるそうだけど、なにせ既に驟雨といっていいような雨で建物を出るのも億劫。外湯は明日のお楽しみとします。
もう少しゆっくり入っていてもよかったのだけど、なんだかくたびれてしまったので、暖まったところでさっと出て、甘夏食べながら畳床暖房でごろごろ。至福。

お夕食ですよ。一挙公開!
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いきなり食前酒から吟醸酒ですか!「あらばしり」という、地元のお酒。吟醸香が上品。私は醸造アルコール使っているお酒はあまりたくさん飲めないのだけど、これは美味しい。
前菜の蕨ぽん酢の次に出てきた筍のあんかけで、あまりの美味さに衝撃を受けました。 こんなのはじめて・・・とろける筍(海苔をはさんで、揚げたの?どうなってるの?)。ほかにも鮪とか伊豆牛とか金目やサザエのお刺身とかワラビの入った野菜雑炊とか、全てがまっとうに美味しい。
あ、写真は、ときどきうっかり、ひと箸つけてから、そうだ写真写真!と慌てて撮ったりしていて、完璧なくてすみません・・・撮影心より食欲が先行するのよ・・・。
ひととおりお食事が済んだところへ女将さんがビール瓶片手に合流、ひとしきり談笑。草薙くんの逮捕、酒飲みとしては、「あれぐらいやっちゃうよ〜何も逮捕まですることはないじゃんねえ!」ということで意見が一致してカンパーイ。

就寝、暖房切って寝ましたが、体はほのほのとずっと温かいまま。温泉効果。
さてすっかり雨も上がって、気持ちの良い翌朝。お庭に出てみました。

なんだかこう、お茶室を感じさせる作りなのですよねー。ごまかしが無くて、神経が行き届いていて、銘木ってかんじじゃないけれど竹やなんかを随所に面白く使っていて。なんともきっぱりとして気持ちの良いお部屋、お庭。
朝食前に、昨日行かれなかった外湯で朝湯。

大見川のすぐそばに建っているお宿で、せっかくなのでついでに川を見て行こうと出たら、一本の八重桜が散り掛かっていました。

外湯は割烹店のすぐそば。お湯殿の入り口にもお花が。ほんとにこのお宿、どこにも気前良くもりもりとお花を活けてあるなあと、感心しつつ入ってみると、昨日の内湯とは打って変わり、こちらは岩風呂風で、昔なつかしい湯治場の風情。
泉質サラリと、熱くなくぬるくなく、いつまででも出たり入ったりできそうな気持ちの良いお湯を堪能しました。

お湯から上がって戸を開けると、目の前にはらはらと白い花弁が散りかかって、表にまわれば・・・えーとなんだっけ?(笑)・・・こんなとき花の名を知らないというのは、実にかなしいものです。

宿の内外で沢山のお花を育てていて、お手入れもたいへんでしょうに、どれものびのびと気持ちよく咲いていました。離れの入り口のこでまりも、たぶん宿の入り口にあったあそこの茂みからだろうなあ。

離れに戻ってふと気付けば、内側に腰掛待合が。ああっ、やっぱりここ、お茶室がある。どこだ。我々の部屋にお茶室の機能はなさそうだったけど?・・・探訪は、のちほど。

まずは朝ごはんだっ!昨夜あんなに食べたのに、温泉入ったら、おなかぺこぺこ。

昨夜の金目の姿作り、美味しかったのだけど頭のほうにたっぷりと身が残っていて、ああっ、そ、そこがいちばん美味いのに・・・!と思ってたら、翌朝、飴炊きになって食卓に上りました。 ご亭主!わかってるわね!(ちょう上機嫌)
それに加えて鯵のたたき、「ゆうべあんこうの解体ショーやったから」って、あんこうの味噌汁というかどぶ汁。 えーと、ってことはメニューはですね、ごはん、どぶ汁、ししゃもとたらこ焼き、鯵のたたき、揚げ出し豆腐、ハムとトマトとキャベツとラディッシュ(自家製)、めかぶ、ちりめんおろし、金目の飴炊き、コーヒー。これで朝ごはん・・・だと・・・?不思議と完食。しかもニガイメさんなんて三杯飯よ(女将さんびっくりしてた。私は二杯飯だったのでひとのこと申せませんが・・・w)。


あっ、やっぱりお茶室発見ー!
女将さんに訊いたら、お抹茶ではなくお煎茶とのこと。お茶どころですもんね。中までは拝見できなかったけれど、こんなに清々しいところでお茶会が開けるのなら、お煎茶道の心得が欲しいなあって思いました。


ワープアぎりぎり(ほんとよ)の我々がちょっと一泊に行けるぐらいのお値段。妙に取り繕うようなところが何もなくて、お野菜もあれこれが自家製のフレッシュこのうえないもので、帰りにちょっと畑行ってラディッシュと小さなセロリを抜かせていただきましたが、いやはやほんとに気持ちの良いお宿でした。どなたにもおすすめしたい宿だなあ。ああでもお酒飲めたほうが楽しいかもしれぬ。

宿のご主人に車で送っていただいて、ついでに一緒に入場していただいたのは、伊豆市民なら5人まで入場無料という虹の郷。ロハってすてき。ご主人、感謝♪

伊豆市が運営しているレジャー施設で、なんといっていいか、なんでもありっていうか・・・まあ、修善寺付近、中伊豆をテーマにしたテーマパークっていいますか。いやでも、カナダには姉妹都市があるらしいけれど、はてイギリスは?まあいいや。

ここで見たかったのは、大患の間。

写真にはうまいこと撮れませず、残念。
日本庭園のなかに、漱石修善寺の大患で療養していた部屋がそっくり移築されていまして、予想以上の保存状態でした。
お部屋はもともと菊屋旅館で、三間続きだったところを二間に減らして、二階だったところを一階に、そのまま移築されていましたが、簡素というか、昭和のはじめに建てましたと言っても信じられそうなきれいさ。おおどかで、梅色の天井が高くて、明治期の旅館建築というのはなんとも素晴らしいものだなと。
入り口貼り紙、当時のままのガラス戸(二階だったので、この外側に欄干ともいえないぐらいの手すりがありましたが)、そして療養の部屋の写真を追加しました。療養の部屋には床の間を背に、机など一式展示して、そばの赤い座布団には猫の彫刻(これはさすがに今出来というかんじ)など置いていましたが、漱石が使った机というわけではなさそうで、ただ掛け軸やなんかは、当時の菊屋旅館で使っていたもの(ただし漱石がそれを掛けていたかは不明)だとのこと。変に「則天去私」のレプリカなんか掛けておかないところは、非常に好感が持てました。


お花もいろいろ。石楠花とか、薔薇(見ごろは5月中旬ぐらいかなあ)とか、これもテーマごとに大きく空間を使っていました。ほかに、温室入り口のブーゲンビリアが見事なものでした。

さて、お楽しみその2。

園内を巡る汽車は、遊園地のおさるのでんしゃみたいなやつかと思ったら15インチ鉄道の動態保存の性格を併せ持つ本格派。もちろん乗ったわよ乗らいでか。車窓から、けっこう間近く、富士山が見えました。頭を雲の上に・・・出せてなかったのは残念。あと、これは動かないのかな、 C11ぽい黒い機関車は金沢工業大学製とのこと。こちらもいいですねえ。

またバスで修善寺駅に戻って、ちょっと駅前ふらふら。

お昼を食べに入った蕎麦屋では鴨が葱しょってきて、我々は葱がダメなんですが、この葱はなんとも美味で・・・♪ 蕎麦味噌と板わさが揃ったところで冷酒に切り替え。昼酒、たまりませえん(^^)
お蕎麦は細めでサラサラ、我々好み。 食べかけでごめんなさい・・・ついつい目の前の蕎麦にまず箸を出して、それからはっと気付いて撮るというかんじでですね。

蕎麦屋は「紅ほうずき」という、ほんとに駅から程近いお店でした。


帰宅して、もう当日はなにもできないでお土産だけニガイメさんご実家に届けてやすんだのですが、翌日・・・は残念ながら寝坊して(汗)、翌々日は、虹の郷はカナダ村で購入のマッケインポテトフレークスをあたたかい牛乳で練ったのと、お宿で抜かせてもらったラディッシュとセロリにマスカルポーネと胡椒添えて、朝ごはんに。
なんだかもう、一週間経った今も、ああいい旅だった・・・と思うのでした。