百八記blog

はてなダイアリー「百八記」から引っ越しました。相変わらずの、がさつずぼらぐーたら。

歌舞伎座 二部、三部

※5/9UP。しばらく放置したけどGW終了だし日記復活せにゃー。
閉場まであと7日にせまった歌舞伎座、今月の演目はいずれも凄い。

感想を、といっても、もうこの頃になると、役者も力の限りであるし、こちらも力いっぱい観ているのであって、なんとかこの舞台姿を目に焼き付けておこうと思うので精一杯で。これを2週間強経ったいま思い出して書くので、あまり良い感想にならないかも・・・

第一に、勘三郎の戸浪、抑えた演技ながらも非常に世話な感じで、これはこれで幸四郎の松王の大時代な感じと対比がされて面白かった。この役者の可能性の広さを改めて思い、三年後もきっと新しい歌舞伎座で活躍しているであろうことを思うと嬉しくなってしまう!仁左衛門、思いやり深い源蔵。繊細な演技で心の襞がよく伝わってきたように感じた。実はこちらの勝手で、この夫婦の組み合わせどうなんだと思っていたのだけど、予想が外れて幸せ。玉三郎の千代は気丈な母、幸四郎のかげで万事ひっそり控えめ。寺子屋師匠の(町人に近い)世界と松王の(武士の)世界の対比くっきり。面白かった。ほかに、高麗蔵の涎くりが、殊の外の出来・・・こういう兄ちゃんが寺子屋にいたら、それだけで通ってしまうかもしれない。

それぞれの大名跡をじっくり鑑賞する一幕♪菊五郎が少し痩せたか・・・全体的にサラサラとやって、江戸前、気持ちのよい幕でした。

  • 藤娘

藤十郎はんなり。しかし踊りの達者なことには驚く。藤の影から出てくる度に、場内が「はーっ」と華やぐ雰囲気に。可愛らしく品よく、ほんとうに妖精のような藤娘でした。

実は、わたくしこれが初見。えっと・・・子役が賢く可愛かった(^^;)いやいや、面白いお芝居だと思って拝見したのです。なんといっても芝翫が立派で、これさえ観られればと思った。これはこれでいいのかもしれないけど、実録じゃないほうの先代萩のが好きかなあ。

この日は、これを目当てのようなもので、文句なしの大舞台!全てが良く、これ以上の助六は望むべくも無い。今後、これを基準に助六を観てしまうとなると・・・おそろし。粋人の勘三郎が敢えて野暮を承知でやっているところは今月だけの特殊性なんだけど、場内を共感させ泣かせているところは流石、私はそこでは泣きたくなかったんですが。全員のよさを挙げているときりがないのだけど、三津五郎の福山かつぎは何度でも何度でも観たい。そしてもちろん團十郎・・・実に、助六はこのひとのためにある芝居だと思う。駘蕩とした江戸の雰囲気、もう、揚幕から出てくるだけで嬉しいし、浮き浮きする。

歌舞伎座風景いくつか。4月、場内外に飾られていたのは花水木でした。助六の台詞で、「仲之町の花水木・・・」って台詞があったけど、あれ、ほんとは「八重桜・・・」かなんかではなかったかしら。とすれば、この場内の飾りにあわせて、客席を吉原の雰囲気に巻き込もうとしてくれたんだなあって感謝。あー、弁松さんの赤飯弁当とも、しばらくお別れか。いや新橋行くとき買っていくか。