百八記blog

はてなダイアリー「百八記」から引っ越しました。相変わらずの、がさつずぼらぐーたら。

歌舞伎座 夜の部

昼の部行き損ねた歌舞伎座、昨日21(土)の夜の部に行ってまいりました。信二郎改め錦之助!よっ、錦ちゃーん!!

  • 実盛物語

千之助くんが場内の人気をかっさらう。いやあ子役とはいえ達者なもんだ。最初の出の台詞のイントネーション、ほかで聴いたときは確か関東風に「おれが」で尻上がりになり「とったー」でやや下降するというかんじだったんだけれど、千之助くんのは関西風で「おれが」はフラット、「とったー」で尻上がりになり、「おれがとったエモノなのになんでじいちゃんの魚籠に入れられるんだ」というささやかな反抗心と主張のかんじが出て、このほうがいい。
仁左衛門は当然のようにいい(しかし私はちょっと疲れて腕を切り落とすくだりで寝てしまいました…ゴメンナサイ)。亀蔵の九郎助は、流石に年齢的にちょっと無理があるが頑張っていて好感。
仁左衛門と千之助くんが一緒に写っているブロマイド(仁左衛門が年寄りくさく写っているのでちと不満だが、まあこれはこれで子煩悩なかんじがよく出てるか…ホンモノのじいちゃんだしな…)買っちゃいました♪

  • 口上

現在師事している富十郎はじめ、あたたかで和やかな雰囲気の口上でした。ニンそのものというのかな…エピソード不足というのかなあ…(笑)。
雀右衛門がしっかりしていて嬉しかった。いずれ一緒に舞台をとの挨拶、そういう日が早く来ることを願います。
種太郎さん、小さいときから見ているだけに、今回の口上での立派なご挨拶に少し感動。子供が大きくなるってこういうことなのね…それにしても萬屋一門は子宝に恵まれて、またどの子も一所懸命に歌舞伎を吸収していて、今後が楽しみです。
高島屋からの祝幕は爽やかな水の模様。口上の背景の襖絵は桐の花。これまた信二郎らしい、気持ちのよいものでした。
ちなんで、写真はさきほど我が家のベランダから撮った桐の花、咲き始めです。風が強くて、また超望遠だとピントがうまく定まらなくて、まあアウトラインこんなかんじというだけの写真になってしまいました。
 

いかん、口上で新・錦之助信二郎と書いてしまった。いやねえ、錦之助というと伝法な印象があるもので、おっとりした信二郎とイメージがまだ一致しない。
その信二郎改め錦之助、二役にて大奮闘。正直に申して、見る前は、えー?与五郎だけでいいじゃん…と思っていたのですが、とてもよかったと思います。人柄の良さアッピール!みたいな。
富十郎の濡髪のうしろに小さな黒衣、大ちゃんでしょうね、やけにちょろちょろして目立つ。まあ富十郎が小さい人だから、大兵らしく見せるには少しは役に立ったかもしれない(一応、黒衣のお仕事もしてましたがね…)。
隼人くんはイマドキの美青年になりつつあるけれど、ちょっとスモウの弟子は難しかったか。子役から大人へ。この時期だけ見ていてもわからないものなので今後に期待、評価は保留。父に負けるな。

  • 魚屋宗五郎

勘三郎の安定感ある明るい演技(キッチリ笑いをとりますよ、というか客も笑おう笑おうとして待っている感じ。台詞はもう少し削ってもいいのでは)は予想通りとして、時蔵のおはまの、いいだろうと思っていたけれど予想以上にいいこと!!コミカルもやれるんじゃん…すげえな役者って。
勘太郎の三吉、七之助のおなみ、若さで押してともに良し、が、もう少し何かこう、それぞれの世知みたいなものが欲しかったというか…いやでもそんなのは大人になってくるにつれて良くなるに決まっているのだから、今はまだいいか。悪達者になってもいけないし、親父殿がアクが強いのだから、あのぐらい抑えて丁度いいとしましょうか。
錦之助は磯部の殿様、若やかで爽やかな持ち味そのまま。この人が酒を飲むと妾のたぶさとって引き回す、ようには見えないあたりが、いいのだか悪いのだか。まあおめでとう。