百八記blog

はてなダイアリー「百八記」から引っ越しました。相変わらずの、がさつずぼらぐーたら。

トリスタンとイゾルデ

記念だらけですが(苦笑)ニガイメ氏がご招待してくれたこちらは、新交響楽団の創立50周年シリーズ。我々の結婚3年なんて、まァだまだ青いってもんです。
マチュアのオーケストラなのですが、今回は指揮:飯守泰次郎、トリスタン:成田勝美、イゾルデ:緑川まり、マルケ王:長谷川顕、ブランゲーネ:小山由美…ということで、東京シティフィルのオーケストラルオペラと錯覚しそう。
私は「トリスタンとイゾルデ」お初だったので、昨日の夕食時に予習と称してバイロイト祝祭劇場バレンボイム指揮)の第一幕をDVDにて鑑賞。うわぁ…華麗な音楽、救いようの無い展開、屈折した主人公たち。どうするんだこれ。収拾つくんだろうか。
という感慨で本日の鑑賞に臨んだのですが、いやはや!よかったです!!
オーケストラは昨日のDVDのほうが格段に上手かったと思うのですが、そうであっても、生で聴く迫力と旋律の美しさ(こんなドロドロでロマンチックでエロスとタナトスーみたいな話なのに、おそろしく美しい旋律が多用されていてびっくりです)には敵わないところもあるのだと、再認識しました。
そして、なんといっても、緑川まりさんの声の強いこと。昨日DVD見たときから、イゾルデってのは屈折はしてるけど、お姫様ならではの考え方をする、相当に気位の高いひとなんだなあと思ったのですが、これを表現して余りある声の強さ豊かさです。トリスタンはマザコンでマゾで狂ってるかもしれないけれど、イゾルデは結構…理性的というか、いや愛に溺れまくってるんですが頭はしっかりしているんですね、最後まで。緑川さんは、こういう、気高く可愛く母性的でド迫力な役柄が、とてもよく似合うと思いました。
トリスタンの成田さんも良かったです。すごく難しい役柄だと思います。途中までは抑制のきいた人格の英雄だったのが、どんどん…恋は魔物とか錯覚とか狂気とか言いますが、その深みに一直線に突っ走ってしまって、なんていうか恋愛ジャンキーのようになってしまっている。説得力のある歌唱でした。
ブランゲーネの小山さんも素晴らしかったのですが、マルケ王の長谷川さんは、少し弱々しすぎるように感じました。
抜粋とはいえ14時開演の17時過ぎ終演ですから、まあ長丁場だったんですが、楽しかったです。感謝。やっぱりコンサートはいいなあ。