人について考えると
えっと、消した日記のかわりにお口直し。今まだ読んでいる最中ですが。
『私はそうは思わない』(佐野洋子)いいねえ。勇気が出る。
タイトルになった章をさっき読み終わったところですが、ここでちらっと小さく主張されている、童話の残酷な場面を削ることについて「子供には主人公が幸せになる場面だけを与えてもいいのでは」という肯定意見に対しての「私はそうは思わない」に、私もそう思うーと(笑)。童話のなかで差別したり血が出たりすることで得られることだってたくさんある。それをどう読むかはその子の問題で、私は本が大好きで大好きで仕方が無いけれど、たかが童話一冊が残酷だからといってその子の人格形成が残酷に傾くとはとても思われない。そもそも一冊の童話の一場面が残酷というだけで語れるものかどうかも疑問。それは、ひとつの場面にひとつしか読み方が無いという貧しい考え方ではないか。
人は、もっといろんなものでできているし、良くも悪くもいろんなものを吸収して時には逃れがたいことに遭遇して受身にもなりながら、最終的には自分で判断して生きていかなくてはしょうがない。大事な言葉だと思います、「私はそうは思わない」。
子供のことだけでなく、いま、ここに私が生きていることを、機嫌がよくても不機嫌でも、きちんと引き受けていきたいな。と思う本です。
一緒に買った『蝉時雨のやむ頃』(吉田秋生)も、内容は全く違うけど、生きていることに対する肯定感というか、状況も自分も抗いながら受け入れて咀嚼して、きちんと生きていくことの大事さを語っている点では、似ているかもしれない。このひとは以前から何を描いていても、常にそこに戻っていた気がするけれど。
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